騒音
1、騒音
騒音とはどんな音なのでしょうか。…その答えは「気に入らない音」とか「気に障る音」です。つまり、ある音が騒音であるかどうかの基準は、はなはだ主観的なもので、誰かにとって心地良いピアノの音が、それを嫌いなほかの誰かにとっては、騒音になってしまうのです。では一体、どんな音を測れば良いというのでしょう。
世の中には、誰もが認める騒音というものもあります。例えば道路騒音です。もちろん、道路騒音に悩まされ、迷惑を被っている人たちもいるでしょうから、そういう人たちからすれば、まさにこれは騒音です。でもそういう意味でこれを例にあげたわけではありません。なぜなら、一般の人は、おそらくそこまでは気にしていないはずだからです。別に、取り立てて文句を言うほど「イヤだ」とか「気に障る」とか「迷惑だ」とは感じていない。でも、もちろん好んで聴こうとするようなことはないでしょう。うるさいんだけど、うるさいということをあまり意識していないような音と言えば良いでしょうか。私たちの周りには、こういう道路騒音に似たような音がたくさん存在します。駅のホームでの電車の音とか夏場の蝉時雨、川のそばに住んでいれば流れの音なんかも、これに当てはまるでしょう。こういう音のことを、環境騒音と言います。
2、暗騒音
例えば道路工事の騒音を測る場合で考えてみましょう。もしその場所が、もともと交通量が多くとてもうるさい場所で、工事が行われていてもいなくても同じくらいの騒音量だったとしたら、どうでしょうか。いくら工事中の騒音を測ってみても、ほとんど意味がないでしょう。つまり、道路工事の騒音量を正しく評価するには、そもそも工事が行われていないときの騒音量はどのくらいであったのかを調べる必要があるのです。このように問題となる騒音源が鳴っていないときに測った、その場所のもともとの騒音量のことを暗騒音と言います。
学校の教室など、部屋の暗騒音の測定は、会話はもちろん、その場所では何の物音もたてていない状態で行います。外部からの浸入音の大きさを測るのだと考えて下さい。
3、測定内容
指示騒音計(音圧計)を使って、身の周りの物や場所の音の大きさを測定する。環境騒音は、その場の状況や時間、天候などによって変化することが多い。測定の対象となる物や場所の名前だけでなく、同時にこれらの条件も記録する必要がある。
簡易的には次のような方法で測定する。目的に合わせて、次の二つの方法を使い分ける。
① 音の平均的な大きさが意味を持つ場合
騒音計の反応速度を 【SLOW】 にする。5秒おきに10回メーターを読み、平均値を出す。機械の運転音、室内暗騒音、雑踏などを測定する場合がこれにあたる。
② 音の瞬間的な大きさが意味を持つ場合
騒音計の反応速度を 【FAST】 にする。目的の音が発せられるたびにそのピーク値を読む。10回測定し、得られたデータを平均する。車の通過音や物体の衝突音などを測定する場合がこれにあたる。
注) 平均値や変動幅を求める場合に、収集したデータのうち、最大のものと最小のものを除いた、8個のデータのみを対象にすることがある。これは、例外的に(突発的に)大きな音がしたり、音が鳴り止んだりした場合のように、本来の測定意図にそぐわないデータを除外するためである。このことは特に、音の平均的な大きさが意味を持つ場合(上記①)に必要となることが多い。データの解析に当たっては、適宜これを考慮して行うと良い。
騒音 資料
資料1 騒音計の使い方
資料2 身近な騒音レベルの例
騒音レベル |
音の例 |
0dB |
最小可聴音 |
10dB |
録音スタジオ |
20dB 30dB 40dB 50dB 60dB 70dB 80dB 90dB 100dB 110dB 120dB 130dB |
真夜中の住宅地の室内、吐息 昼間の静かな部屋(エアコン、ファン類は切)、ささやき 普通の部屋(エアコン、ファン類は入)、小声の会話 小さな事務所、足音、咳払い(小)、しゃっくり 普通の会話、BGM、生楽器(ハーモニカなど) 列車内(新型軽量車)、街の雑踏、音楽鑑賞 列車内(旧型鋼鉄車)、繁華街の雑踏、生楽器(中音量) 地下鉄車内、喧嘩、クラクション、大音量の音楽鑑賞 新幹線の駅通過音(270km/h)、生楽器(大音量) ハードロック・ライブ最前列 メタル・ライブ最前列の瞬間最大爆音 耳の限界、耳が危険 |
資料3 騒音計の聴感補正特性
資料4 許容騒音レベル