ラウドネスレベル

 

人間の聴くことのできる周波数域は、20Hz~20kHzと言われています。しかしこれは、20Hzまでは聴こえるが、19Hzからは途端に聴こえなくなる、という意味ではありません。周波数が低くなるに連れて、だんだん聴こえなくなっていって、どんなに頑張っても20Hzが限界だ、くらいの意味です。高い方の限界も同様です。ですから、普通は、20Hzや20kHzの音は聴こえません…いや、ひょっとすると世界中を探しまわれば、何人かは聴こえる人がいるかもしれませんが、きっとそれは超能力と言って良いのだと思います。ところが一般には可聴周波数域として紹介されることが多いので、20Hzや20kHzが普通に聴こえるように思っている人がいるのですが、そうではないのです。

 

どんな事柄でも、何を限界とするか、どこに境界を置くか、というのは難しいものです。例えば、ヨーグルトの賞味期限が今日だとして、今日の夜中の零時の時報とともに急にまずくなったりはしないでしょう。賞味期限の場合は、今日いっぱいまでなら間違いなくおいしいけど、それ以降は保障しないよ、ひょっとすると腐っちゃうかもよ、という意味でしょう。可聴域の場合は、まさかココまで聴こえる人はいないだろうから、オーディオを作ったり、音の調査をする場合には、20Hz~20kHzまでを対象にしておけば誰からも文句は来ないよ、という意味です。

 

では、どの辺りからどんなふうに聴こえなくなっていくのでしょうか。実は、ヒトの耳の感度がもっとも高くなるのが4kHz付近なのですが、その 4kHzを頂点に、そこから離れるにしたがってどんどん感度が落ちて聴こえなくなっていきます。特に低い方の感度の落ち具合は顕著で、例えば同じ60dBの音圧レベルで4kHzの音と400Hzの音を聴き比べると、400Hzの音は、文字どおり耳を疑うほどの小ささです。40Hzならば、やっと聴こえる程度でしょう。このように、ヒトの耳の周波数に対する聴こえの特性は、意外と均一ではないのです。

 

この「聴こえの特性」をグラフにしたものが等ラウドネスレベル曲線です。同じ大きさに聴こえるための(ラウドネスレベルが等しくなる)音圧レベルを、周波数を変えて調べ、線で結んだものです。具体的には、1kHzを基準として、それと同じ大きさに聴こえるための音圧レベルを周波数ごとに調べていきます。例えばそれらが、1kHz、60dBの音と同じ大きさに聴こえるものであれば、それらを60phonと呼びます。等ラウドネスレベル曲線は、よくある周波数特性とはアプローチの仕方が大分異なりますが、意味合いとしては、同様の内容を表すものと捕らえて良いでしょう。

 

 

ラウドネスレベル 資料

資料1 等ラウドネスレベル曲線 ISO226

資料2 等ラウドネスレベル曲線の読み方 その1

資料3 等ラウドネスレベル曲線の読み方 その2

資料4 等ラウドネスレベル曲線の読み方 その3

資料5 判定結果 記入用紙と記入例

資料6 結果グラフの例